結婚したら給与計算はどうなるの?共働きの場合
従業員が結婚したら給与計算はどうなるのでしょうか。ここでは夫婦共働きの場合について説明します。
共働きと言っても給与計算上は3通りに分かれます。ひとつは従業員と結婚した相手の収入が被扶養者の条件を満たしており、従業員の扶養家族となる場合です。
ふたつ目は、御社の従業員の収入が被扶養者となる条件を満たしており結婚相手の扶養家族となる場合、みっつ目が配偶者の収入が多く御社の従業員の扶養家族とならない場合です。扶養家族が増える場合については別項目を設けて説明していますので、ここでは従業員が結婚しても扶養家族とならず、また扶養家族が増えない場合について説明します。
まず、扶養家族が増えても増えなくてもそもそも社会保険料の変更はありません。また、扶養家族が増えないので、給与計算上、所得税や住民税の変更は生じません。しかし、会社では以下のような手続きが必要となる場合があります。
1、姓が変わっていませんか?
従業員が結婚して姓が変わると、各種手続きが必要です。まず、御社の従業員名簿やその他の社内使用のあらゆる名義変更について姓の変更が当然に必要です。
それと同時に社会保険と労働保険についても届け出をします。
まず、社会保険ですが、「健康保険厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届」に記入してもらいます。届け出用紙の上部①に事業所番号、②被保険者整理番号、③年金手帳の基礎年金番号、④生年月日、⑦種別(性別)を正確に記入します。⑤被保険者の氏名に、結婚後の新しい氏名を記入し、その右欄の㋑に結婚前の旧姓で氏名を記入します。
この健康保険厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届を提出することによって、年金と健康保険両方の手続きを同時にすることができます。以上の記入箇所のほかに、新しくマイナンバー制が導入されたことにともない、マイナンバー記入欄が増えます。その所定箇所に従業員の個人番号・御社の法人番号を記入します。この変更届出書は事業主から氏名変更後(つまり入籍後)すみやかに、会社所轄の年金事務所に提出します。その際、健康保険被保険者証と年金手帳を添付してください。
労働保険では「雇用保険被保険者氏名変更届」を提出して手続きをします。資格取得手続きをした際に使用する用紙が「被保険者証」「資格取得確認通知書」と連なっていますが、この用紙を使用します。以下の記入法の説明のほかに、新しくマイナンバー制が導入されたため、従業員の個人番号・御社の法人番号を所定箇所に記入します。
変更届用紙の8新氏名欄に変更後の氏名を、10被保険者氏名に変更前の氏名を記入します。この用紙は空欄全てに記入するのではなく氏名変更に関する欄のみ記入します。17事業主名に御社について記入し、更にそのすぐ上の文章「雇用保険法施行規則第7条第1項・・・・届けます。」の「第7条第1項」部分に線を引いて消してください。
この変更届書は氏名変更後すみやかに、事業主から会社所轄のハローワーク(公共職業安定所)に提出します。その際、雇用保険被保険者証を添付してください。
2、住所が変わっていませんか?
結婚によって姓が変わるほかに、住所も変わることが多いはずです。
その場合には「健康保険厚生年金保険 被保険者住所変更届」を提出する必要があります。届け出用紙の上部①に事業所番号、②被保険者整理番号、③年金手帳の基礎年金番号、④生年月日を記入します。③と④の間の欄に氏名を記入するのですが、この氏名は上記1で紹介した「健康保険厚生年金保険 被保険者氏名変更(訂正)届」を同時に提出するのであれば、その届によって被保険者の氏名が既に変更されていますので、変更後の新しい氏名を記入します。
氏名の変更がなく住所のみ変更するのであれば従来の氏名を記入してください。この変更届書は住所変更後すみやかに事業主から会社所轄の年金事務所に提出します。氏名変更をしている場合には上記1の氏名変更届と同時に提出するとよいでしょう。
雇用保険には被保険者の住所変更についての手続きがありませんので、何もすることはありません。
3、準備しておけば安心です
従業員の生活は歳月とともに変化して行くのが通常です。従業員が向かえる人生の節目を前もって想定し、手続き方法、各種届出の一覧と添付書類の一覧、またそれに使用する届け出用紙を準備しておくと手続きをスムーズにすすめることが可能です。
また、各手続きに関して、従業員に渡す手順書や説明書を作成しておけば、従業員もなすべき手続きと準備する書類を一覧することができますので親切ですし、御社から毎回個別に説明する手間も省けますね。