給与計算ラボ

給与計算の方法、流れ

給与計算を無料エクセルを使う場合のメリット・デメリット

給与計算にエクセルを使っている人は少なくないと思われます。実際、エクセルを活用することで給与計算業務の負担を軽減することができます。

給与計算といえば高額なソフトしかなく、無料で行うためにはエクセルを使うしか無いという状態が今まで続いていたこともあると思います。

エクセルで給与計算を行う方法

エクセルで給与計算を行うためには、まずエクセルのテンプレートを探してダウンロードします。関数などに詳しい人であれば、自分でエクセルの関数を作ることもできるでしょう。

テンプレートは検索すれば無数に存在していますが、無料テンプレートの殆どは簡単な計算機能を持っており、1枚の給与明細ごとに1ファイルとなっています。

ですので、「令和○年○月分_(従業員名).xlsx」のような形でファイルを作成し、そのファイルにより管理をすることになるでしょう。

毎月行う給与計算では、労働時間の集計、支給額の計算、控除額の計算を行うことになります。

この内、労働時間の集計はエクセルでおこなうというよりは、タイムカードや出退勤記録をもとに作成した「出勤簿」から転記するのが一般的でしょう。出勤簿の作成も、エクセルで行うことができます。なお、出勤簿は法令により作成が義務付けられている法定帳簿ですので、出勤簿が存在しないという場合は作成する必要があります。

次に行うのが支給額の計算です。支給額は月額などの固定給の他に残業代や各種手当を計算します。各種手当は従業員ごとに毎月同じ金額であることがほとんどなため、従業員名簿又は前月の給与明細を参照して入力します。前月分の給与明細をコピーして編集するという方も多いのではないでしょうか。残業代はエクセルの関数により入力された労働時間から自動的に計算することも可能です。エクセルを使うことで、計算をとても効率的に行うことができます。

控除額の計算は社会保険料、労働保険料と所得税を計算することとなります。

この中で、労働保険料は総支給額の○○%(業種によって異なる)と決まっているためエクセルの関数で簡単に計算可能です。また、所得税も「計算機~~~~~~の特例」を使用することで関数で所得税額を計算することが可能です社会保険料は「標準報酬月額」という、従業員ごとに定める平均給与に応じて決定されますので、エクセルの関数を少々工夫することになるでしょう。しかし、このあたりも全て自動計算するように関数が組まれていれば計算の手間は一切無くなります。なお、所得税は乙欄、丙欄のどちらを適用するか、または、扶養家族の人数によって計算方法が異なりますが、配布されているテンプレートの中にも対応しているものがありました。

このあたりの計算式については、対応しているテンプレートと対応していないテンプレートがあり、検索で探した限りは対応していないテンプレートのほうが多かったです。ですので、エクセルのテンプレートを活用すれば業務負担が減るとは一概に言うことはできず、テンプレートによって自動計算できる項目と手動で計算して入力する必要がある項目があるということです。

エクセルにはPDFで保存する機能がありますので、完成した給与明細はPDFで保存して従業員にメールで送ったり、印刷したりして交付を行うことができます。

エクセルで給与明細を作成するメリット

無料で作成可能というものが大きなメリットではないでしょうか。給与計算ソフトに予算がついていない場合に、エクセルは無料で使えるツールとして最も便利なものの一つです。

テンプレートの種類が豊富に存在するため、デザインや項目などを自社に合わせた形のものを見つけることもできます。会社名の追加や、会社ロゴの挿入、色の変更などもエクセルですので自由に行うことができるでしょう。

テンプレートにもよりますが自動計算機能が充実しているテンプレートであればほとんどの項目を自動計算することができるでしょう。複数人の給与明細を作成する場合、同じような計算を少しだけ条件を変えて何度も行うこととなり意外と時間がかかりますが、自動的に計算が終わるのはとても効率的に給与明細が作成できるようになります。

エクセルで給与明細を作成するデメリット

ファイル管理が煩雑となります。フォルダ内に複数従業員のファイルが入ることとなり、そのどれもが個人情報であるため個人情報を適切に管理するためにパスワードロックをかけたり、ファイルサーバの中でも特定の人しかアクセスできない場所に保存したり、パソコン紛失時にはデータが取り出せないようにしたり、などの対応が必要です。

テンプレートの選定により効果が限定的になる可能性があります。すべての項目の自動計算に対応しているテンプレートもあれば、一部項目のみの自動計算に対応しているもの、項目の自動計算には対応せずに全て入力が必要なものなど様々なテンプレートがあります。自動計算に対応しないものは後述するアップデートの問題は発生しませんが、効率化のメリットも薄いでしょう。

法改正による税制変更の際にテンプレートを更新する必要が出てきますが、対応していない場合は自力で関数を修正する必要があります。そもそも、変更があったことに気づかずにテンプレートの更新を行わなかった場合は正しく申告できないことになってしまいます。

マックPC等のアップル製品ではエクセルが使えないということがあります。最近ではウインドウズPCでもエクセルが入っていないモデルも増えてきました。人事担当者のパソコンでエクセルが使えないというケースは多くはありませんが、クラウドツールに慣れている会社ではそのような会社も増えてきています。

従業員からの給与明細再発行依頼があった場合に担当者が対応する必要があります。ファイルサーバなどに格納していつでも参照可能とすることも考えられますが、その場合は他人の給与明細が見えないようにするためにファイルサーバのアクセス権限管理などを行う必要があります。ファイルサーバを部署ごとにアクセス管理をしている例は多く見られますが、個人ごとのアクセス権管理を行っているところは多くないのではないでしょうか。

メリットとデメリットを見極めて活用しよう

エクセルの給与明細はとても一般的に行われていますが、メリットとデメリットを精査して導入しているところは少ないのではないでしょうか。実際に給与明細をいくつかのテンプレートを使用して作成してみたのですが、本当にテンプレートによって様々ありました。また、法改正への対応は計算機能が充実しているテンプレートほど重要になってきます。また、従業員からの過去の給与明細の発行依頼が多くなってくると対応が大変そうにも思えました。

昔は給与計算ソフトが高額なものしかなかったので無料で給与計算を済ますためにはエクセルしかなかったのですが、今は無料から使える給与計算ソフトも増えてきています。クラウドなのでエクセルが使えないMacでも問題ありませんし、従業員の方が自分でログインして過去の給与明細を確認することもできます。もちろん、最新の法律に基づくアップデートも行われており、計算式の変更を意識する必要もありません。

エクセルの給与計算もよいのですが、それ以外のツールとも比較検討してみて、その上で自社の業務スタイルに合ったものを選択するのがベストではないでしょうか。

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