小規模な会社での給与支払日と給与締め日の決め方
給与支払日と給与締め日の根拠
給与支払日や給与締め日の設定を蔑ろにしてはいませんか。
いざ会社を立ち上げようとすると、決めなければならないことがたくさんありすぎて、ついつい経営に及ぼす影響が小さそうな部分は深く考えずに決定してしまいがちです。
給与支払日や給与締め日に関しても、「ほとんどの会社でこの日だから」といった理由でなんとなく設定してしまっているケースもあるかもしれません。
しかし、経営に関する物事にはすべて、それ相応の合理的な理由があります。
大原則としては、給与支払日も給与締め日も、何日に設定しようと会社の自由です。法律によって定められているのは、給与を「月に一回以上決まった日に支払う」という一点のみだからです。
にもかかわらず、現実に目を向けると、非常に多くの会社で同じような日付ばかりが設定されています。
実は、それらの日付にしておくことで事務処理上の都合がよいからなのです。
留意しておきたい大事なポイント
給与支払日と給与締め日を決定する上では、以下のようなポイントに留意する必要があります。
いずれも、社会のあらゆる事業所に適用できるものですが、規模が小さければ小さい会社であるほど、そのメリットは大きくなります。
運転資金を考慮して給与支払日の設定を
給与の支払いのためには、総額で見るとかなりの大金を動かすことになります。だからこそ給与支払日の設定には慎重さが求められます。資金の手薄なタイミングで給与の支払いをするようでは、経営者として賢いとはいえません。
給与支払日の設定に失敗してしまうと、最悪の場合、給与支払いのための資金繰りで四苦八苦する可能性さえあります。自転車操業に陥るような事態は免れたいものです。
そこで、取引先からの入金があった直後に給与支払日を設定するようにすれば、余裕のある経営が可能となります。多くの場合、取引先からの入金も特定の何日間かに集中しているはずですよね。仕入れや入金のタイミングもある程度決まっているからこそ、自動的に給与支払日も同じような日付が選ばれるというわけです。
月末の現金残高が多くすることで経営評価の向上に
現金残高は、企業にとって最も客観的かつシンプルな業績表です。月末時点での残高が多ければ、金融機関はそれだけ高い評価を下してくれます。
会社を経営していくうちに、設備投資や経営拡大などのために新たに借り入れを検討しなければならない場面も出てくるでしょう。現時点でそのつもりがなくても、いつ何が起きるかわからず、タイミングを逃すと致命的になることも少なくないのが会社経営です。また、決算書の見栄えがよくなればそれだけ他社からの評価も高まり、取引上有利になることもあるでしょう。
もしもの時のことを考えて、あらかじめ月末の現金残高を考慮して支払日の設定をしておくのは悪くない選択です。
給与締め日は給与支払日からの逆算で設定する
実際に大量のお金が動くことになる給与支払日とは異なり、給与締め日をいつに設定するかは、事務手続き上だけの問題です。まずはじめに給与支払日を確定させたうえで、そこから逆算して給与締め日を考えるようにすると、効率的な日程を組むことができます。
支払い方法が銀行振込の場合、手続きに費やす時間や手間を考慮すると、給与締め日から給与支払日までには最低でも1週間の猶予が欲しいところです。一方で、あまりにも両者が離れすぎると、小規模な会社では経理上混乱を招くおそれがあります。新規に入ってきた従業員の生活にも多大な影響がありますから、可能な範囲で間を開けすぎないようにしたいものです。
長すぎず短すぎない間隔としては、給与締め日から10日後に給与支払日を配置するのが理想です。
計算され尽くしているからこそ浸透している
ここまでに紹介したポイントを総合してみると、いかに世間一般における給与支払日と給与締め日の設定が計算され尽くして決められたものであるかが理解できるのではないでしょうか。
特別な事情がない限りは、世間に倣って次の3つのうちのいずれかの設定を採用すると、合理的な経営ができそうです。
15日締めの25日払い
日本国内の会社で最も広く見られる設定です。給与締め日から給与支払日までの間隔は10日間と、まさに理想どおりです。
25日払いという設定は、会社側からすれば利益はさほどありませんが、従業員にとっては好都合です。公共料金やクレジットカードなど、各種支払の引き落とし日が月末に設定されているケースは多いですからね。その点で、労働者の事情を考慮した実用的な設定といえるでしょう。
25日締めの5日払い
月末締めの10日払い
これら2つもポピュラーな設定です。給与締め日から給与支払日までの間隔はやはり約10日間。そのうえ、会社側としては、月末時点での現金残高が多めになりますので、経営評価を高めることにもつながります。
小規模な会社の場合であれば、この要素を重視して設定するのもよいかもしれません。