給料計算をアウトソーシング(代行)する場合のメリット・デメリット
給与計算業務をアウトソージング(代行)する場合のメリット・デメリットの比較
給与計算業務って本当に大変ですよね。そもそもの制度自体が税金や社会保険料など難解であり、そして1円たりとも間違えるわけにもいかず、全てがセンシティブな個人情報のため細心の注意を払って取り組まなければなりません。
この苦労を少しでも楽にしようと、給与計算業務のアウトソーシングを検討することもあるでしょう。しかし、その前にちょっと待って下さい。本当にアウトソーシングがベストの選択肢なのかどうかは、状況によって異なります。本記事ではアウトソーシングのメリットとデメリットを紹介することで、業務負担を軽減する方法のヒントにしてもらえればと思います。
給与計算業務をアウトソーシングする場合のメリット
まずは給与計算業務をアウトソージングする場合のメリット、利点を考えていきましょう。
業務負担が軽減される
一番のメリットはなんと言っても業務負担が軽減されることですよね。具体的には、ひとりひとりの給与計算の時間が間違いなく減ります。どこまで業務を代行業者に依頼するかですが、個人情報の管理も任せてしまうことで、煩雑なファイル管理負担も減らすことができるかもしれません。
最新情報に基づき正確に計算してくれる
毎月行う計算は、税制や社会保険の改正により定期的に計算方法や料率が変更になります。自分で全て行う場合は、税務署から送られてくる書類などを参考にして常に最新情報をキャッチアップして、対応していかなければなりません。しかし、アウトソーシングに依頼してしまえば、具体的な計算を意識する必要はなくなります。なぜなら代行会社が全て最新の情報をもとに計算をしてくれるからです。これは、給与計算担当者にとって大きなメリットですよね。
業務の平準化ができる
経営的にも、季節的な業務が発生することによる人員配置や、残業時間管理などの問題がなくなることとなります。月初めや年末などは給与計算の業務量が多いため、担当者への負担が増える傾向にあります。また、給与計算担当者が専門的な知識を持っておく必要がなくなるため、より柔軟な人材配置が行えるようになるというメリットもあります。
給与計算業務をアウトソーシングする場合のデメリット
今までご紹介したメリットを見ると、給与計算業務のアウトソーシングは素晴らしいことのようにも思えます。しかし、デメリットがないわけではありません。
コスト(費用)がかかる
まず思いつくデメリットは費用がかかるということでしょう。給与計算業務のアウトソーシングとなると社会保険労務士などの専門家に依頼することになりますので、どんなに安く見積もっても月1万円はかかってしまいます。社員数の少ない中小企業や、創業したての会社にとっては少なくない金額でしょう。社員の数が10名以下などの場合では社内の担当者や社長が事業の傍らでやってしまったほうがトータルコストで見立ても安いというケースがあります。もちろんアウトソーシング費用は計算対象の社員が多くなればなるほど費用も上がっていくことになります。実は小規模の会社にとってはコストメリットは小さいか、全く無いというケースもよくあります。
社内にノウハウが蓄積されない
社内にノウハウが残らないというデメリットもあります。総務や経理として採用した社員がいたとしても、実際の業務をアウトソーシングしているのでは社員に知識が残りません。また、アウトソーシング会社は顧問契約を一緒に行っていない限り色々な疑問に答えてくれるというサービスでもありません。ですので、自社にノウハウが残らず、社内の担当者が何も知らないまま給与計算だけが進んでいきます。そうなると、従業員からの問い合わせや、将来的な給与制度変更などに対応する際に対応できる人員が社内におらず、何をするにも社会保険労務士などの専門家に依頼するという状況になってしまいます。また、精度を柔軟に変えていこうとしても、あまり頻繁に変えることが難しくなります。
個人情報管理のリスクが増える
そして、個人情報管理のリスクも見逃せません。給与計算においては従業員の個人情報を扱うこととなりますし、マイナンバーを扱うこともありえます。これらの情報が万一流出してしまった場合はかなりの損害をこうむることとなります。
給与計算をアウトソーシングするということは、自社の外でそれらの情報が管理されることとなります。アウトソーシング会社のパート従業員や、外国人スタッフのミスなどにより個人情報が漏れてしまうリスクは全く無いとは言いきれません。
給与計算をアウトソーシングしたほうが良い会社
今まで給与計算をアウトソーシングする場合のメリットとデメリットを見てきました。
それでは、どのような会社であれば給与計算をアウトソーシングするメリットを享受できるのでしょうか?
それは、以下のような会社だと考えます。
- 従業員数が多い(50人以上、など)
- お金がかかっても専門家に依頼をして、正確で迅速な計算をしたい
- 本業に支障が出るほどの業務負担感を感じている
- 法改正や制度変更に対応できる従業員がいない
逆に、以下のような会社であればアウトソーシングはあまりメリットがないと考えます。
- 就業規則を頻繁に変更したり、柔軟に運用したりしている
- 社員を育てたい
- 社員数が数人~数十人規模である
もちろん、これらに当てはまったら全てがやるべき、やらないべき、という話ではありませんが、メリットとデメリットを理解した上で自社に合った方法を考えることが重要なのは間違いありません。
アウトソーシング以外で業務負担を軽減する方法
ここまで、給与計算をアウトソーシングする場合について見てきましたが、アウトソーシング以外の選択肢についても触れておきましょう。アウトソーシングを検討しているということは、業務負担や専門性などの問題を解決したいということですよね。
実は給与計算業務は、自社かアウトソーシングか、の2択で考えているとうまくいきません。
内製から、外注比率が高くなる順に以下のような考え方があります。
- 自社ですべて行う
- 給与計算ソフトを活用する
- 一部業務をアウトソーシングする
- 全部業務をアウトソーシングする
アウトソーシングも、代行してもらう業務範囲には様々な幅がありますよね。そして、給与計算ソフトを活用するという選択肢もあります。これは「最新情報に合わせた計算」や「帳票の作成」のみをシステムに外注していると考えることもできるでしょう。小規模の会社や、立ち上げて間もない会社であれば給与計算ソフトがちょうどよいバランスだった、ということもよくあります。そもそもどこの負担を減らしたいのか、という目的に沿って最適な方法を考えていきたいですね。