賞与(ボーナス)にかかる税金はいくら?社会保険料と所得税の計算方法について
賞与(ボーナス)とは、会社の規定や業績に応じて支給される、金額が固定でない賃金のことです。 賞与の有無や支給要件に関する法律上の規定はなく、会社独自で支給時期や金額、支払い回数などを決定できます。
賞与から控除される所得税は、給与とは異なる方法で計算されます。本記事では、賞与から控除される保険料や所得税の計算方法を解説します。
1.社会保険料の計算方法について
社会保険料は健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料に分かれており、それぞれ算出方法が異なります。
健康保険料
健康保険料は、病気やケガで治療を受けた際に治療費負担を軽減したり、死亡などを保障したりできる医療保険の財源となります。
賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額(標準賞与額)に健康保険料率を掛けて算出します。
- 健康保険料の計算方法
例)賞与額60万円・協会けんぽ(東京都)の健康保険料率10%の場合
600,000円×10%÷2=30,000円
健康保険料率は、加入している健康保険組合や勤務地によって異なります。
会社や事業所が加入している協会けんぽや各健康保険組合のホームページ上の保険料額表などで確認を行いましょう。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は公的年金の保険料で、支払い保険料に応じた保険金が老後に支払われる老齢年金や、障害者になった場合に支払われる障害年金などの財源となります。
厚生年金保険料は、健康保険料と同様、賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額(標準賞与額)に厚生年金保険料率を掛けます。
※2017年9月(10月納付分)以降、厚生年金保険料率は18.300%で固定となりました。
なお、勤務先が厚生年金基金に加入している場合には、基金ごとに定められている免除保険料率(2.4%〜5.0%)が控除されます。
- 厚生年金保険料の計算方法
例)賞与額60万円の場合
600,000円×18.3%÷2=54,900円
介護保険料
介護保険料は、40〜64歳までの従業員を対象に給与や賞与から控除されます。
賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額(標準賞与額)に介護保険料率を掛けます。
- 介護保険料の計算方法
介護保険料率は全国一律ですが、定期的に保険料率が変更されるため、定期的に健康保険協会のホームページから保険料率を確認しましょう。
※2023年3月分以降の介護保険料率は1.82%です。
例)賞与額60万円の場合
600,000円×1.82%÷2=5,460円
雇用保険料
雇用保険料は、賞与額の1,000円未満の端数は切り捨てず全額に保険料率を掛けて計算します。
1円未満の端数が発生する場合、50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げます。
雇用保険料率は毎年見直しが入るため、賞与支給時に雇用保険料率を確認しましょう。
- 雇用保険料の計算方法
厚生労働省 雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
例)賞与額60万円・雇用保険率0.5%の場合
600,000円×0.5%=3,000円
2.所得税の計算方法について
賞与から源泉徴収される所得税は、賞与の金額から社会保険料を差し引いた金額に、所得税率を掛けて計算します。
所得税率の確認方法や計算方法は、以下のとおりです。
- 所得税率の確認方法
>出典:国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 5 年分)」
例)前月の給与30万円・扶養親族1人の場合
300,000円−44,625円=255,375円
所得税率=所得税率4.084%
- 所得税の計算方法
例)賞与額60万円の場合
600,000円−(30,000円+54,900円+5,460円+3,000円)=506,640円
506,640円×4.084%=20,691円
手取り額=600,000円(賞与)−93,360円(社会保険料)−20,691円=485,949円
※賞与額が前月の給料の金額の10倍を超える場合や、前月に給与を支払っていない場合には、算出方法が異なります。国税庁ホームページを参考にして所得税を算出しましょう。
3.まとめ
賞与(ボーナス)からは社会保険料・所得税が控除されますが、住民税は控除されません。控除される金額は、前月の給与を基準にして税率が決まるなど、給与の場合とは異なる方法で計算されます。
扶養親族の人数や住んでいる地域、加入している健康保険組合等によっても異なります。
賞与は金額が大きいだけに、間違えると誤差も大きくなるため、注意しましょう。