勤怠管理から自動的に給与計算を行うことで事務作業を軽減できる?
給与計算には正確な勤怠管理が必要ですよね。勤怠管理を行い、出勤日数や労働時間を把握して、そこから時間外労働時間(つまり残業代)などを計算した上で給与計算を行うことになると思います。
それらのすべての手順を自動化しようと思うと、勤怠管理と給与計算という2つの分野が連携したら良さそうですよね。今回の記事では勤怠管理と給与計算が連携した場合のメリットとデメリットを検討して、事務作業がどのくらい軽減するのかを考えていこうと思います。
ステップ1:まず勤怠管理として記録と集計を行う
勤怠管理と給与計算の連携を考える前に、そもそも勤怠管理の業務内容について考えていきましょう。勤務管理はまず勤怠を記録するところから始まります。タイムカードを使う会社もあるでしょうし、勤怠管理ソフトを使いパソコンのログイン時間を元にしたり、執務室への入室時間を元にしたり、又は、タブレットなどの画面で「出勤」「退勤」というボタンを押すだけというものもあるでしょう。タイムカードもなく、台帳に出退勤時間を毎日記入するという会社もあると思います。
全社員が皆同じ場所に出勤するのであればタイムカードや入退室記録をもちいればよいのですが、直行直帰が多い場合や、自宅勤務が多い場合は手書きとの併用など各社工夫して勤怠管理をしているのではないでしょうか。もちろんそれら全てに対応している勤怠管理ソフトもありますが、中小企業が気軽に導入しやすい価格ではないことも多いです。経営者の方のお話を聞いていても、本当に様々な方法で各社記録をしているイメージです。
そして、毎月の締め日に記録を集計します。有給休暇の日数や勤務時間を計算していく作業ですね。勤怠管理では記録と、この集計作業の2つが労力のかかるポイントになるはずです。従業員が数人という規模であれば問題なく作業ができていても、10人を超えてくるあたりから手作業では厳しくなってくるので何らかのソフトやエクセルを導入することになります。
ステップ2:勤怠管理の情報をもとに給与計算を行う
勤怠管理が完了したら、やっと給与計算の出番です。集計が済んだ後の勤務時間や残業時間の合計時間を入力し、時給や月給に基づいて支給額を計算します。欠勤などがあり減額することもあります。
給与計算は基本的には給与計算ソフトを使う方がほとんどでしょう。所得税や住民税、社会保険料、雇用保険料などを毎回電卓で計算していては非常に手間になりますし、ミスの原因になります。しかも、これらの料率は毎年のように改定されるので、ある程度自動計算されるような仕組みを導入していることでしょう。なお、給与計算ソフトを導入していない場合は、無料で使えるものもあるので是非この機会に使ってみることをおすすめします。
入力した勤怠情報から給与明細が作成され、それを印刷するかメールで送るなどして従業員に渡すとともに、給料を振り込む、という流れになりますね。
勤怠管理と給与計算を連携させるメリットを考える
では、勤怠管理と給与計算を連携させる事により業務負担がどう減るのかを考えていきましょう。勤怠管理と給料計算を合わせた一連の流れは以下の通りです。
- 勤怠を「記録」する
- 勤怠を「集計」する
- 集計結果を給与計算ソフトに入力する
- 給与計算を行う
- 給与明細・賃金台帳を整備する
1と2が勤怠管理ソフトが行う内容で、4と5が給与計算ソフトが行う内容ですね。
そして、それらを連携させることによって3の作業が自動化されます。
このときに、それぞれの作業負担を考えてみると、3の作業は実はそこまで大変じゃなかったりします。各従業員ごとの合計時間を入力するだけですので、従業員1人あたり20~30秒もあれば十分ではないでしょうか。従業員が20人いたとしても、10分かかりません。
勤怠管理ソフトと給与計算ソフトを連携させようとすると、実は対応しているソフトが一気に少なくなります。もちろん、連携することにより業務負担の軽減はありますが、対応ソフトが減ってしまうことによって自社の業務に即したソフトを選べなくなったり、月額費用が高額になってしまったりとマイナスの影響が出てくる可能性もあります。
先ほども申し上げたとおり、従業員が20人いても1ヶ月に10分の作業量です。従業員数が100人を超えている場合など、かなり多いのであれば連携を検討するのでしょうが、ほとんどの中小企業にとっては連携を行うメリットよりも、それによって選択可能なソフトが減ってしまうというデメリットのほうが多い、という可能性があります。
勤怠管理と給与計算ソフトの連携まとめ
システム連携は業務負担軽減やコスト削減のために行うものです。その目的が達成できるのであればもちろん連携を進めていくのが良いと思います。しかし、現状ある勤怠管理ソフトや給与計算ソフトは、特に安価なものでは連携機能がないものも多いため安価に仕組みを作ろうと思うと連携しないほうが結果的にコストも安く、そして全体的な業務負担もリーズナブルであるということもあるでしょう。
自動化するところは自動化を行い、手動で残すところは手動で残す、そのバランスを上手く取っていくことが中小企業の業務効率向上には重要な考え方ですね。