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給与計算の方法、流れ

アルバイト、パートの賞与(ボーナス)、支給しますか?しませんか?

アルバイトやパートに賞与を支給するか、しないかは、事業主の悩みどころでもありますが、多くの事業主はアルバイトやパートに賞与を支給しているのでしょうか。
今回は、アルバイトやパートに賞与を支給しない理由と、支給する場合の注意点や支給基準についてご説明します。

賞与の有無は文書などによる明示が必要

労働基準法では、パートを含めて労働者を雇い入れる場合には、労働条件を明示することが事業主に義務づけられています。

さらに、パートタイム労働法では、改正法第6条により、企業がパートを雇い入れる場合に、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」の3つの事項を文書などで明示することが義務づけられています。この3つの事項は、雇用されるパートが希望する場合、電子メールやファックスで通知することも可能です。

このように、アルバイトやパートを雇う場合には、雇う時点で賞与を支給するか、しないかを決めておく必要があります。
では、多くの企業はアルバイトやパートに、賞与を支給しているのでしょうか。

アルバイトやパートには基本的に賞与を支給しない

アルバイトやパートに対して、賞与を支給するか、しないかは、小規模な企業の事業主は悩むところですが、多くの民間企業ではアルバイトやパートには、賞与を支給していません。なぜなら、パートやアルバイトは一般的に正社員に比べると、労働時間が短く、難易度の高い仕事はしていないとみなすことができるからです。

しかし、賞与を支給すること自体には何も問題はありませんので、企業の業績がよく、アルバイトやパートが頑張り、売り上げに貢献しているのなら、賞与を支給するのは、モチベーションのアップ効果があるでしょう。

1度、賞与を支給すると、賞与が支給されるが当然と思われてしまい、次回の賞与の時期に支給しない場合に、不満を持たれてしまうこともありますので、賞与の支給基準を明確にすることが大切です。

事業主の気持ちを表す賞与「寸志」

アルバイトやパートに賞与を支給する場合、正社員並みの金額を支給する企業はほとんどありません。しかも、多くの場合、アルバイトやパート雇い入れるときに、パートタイム労働法に則り、「賞与を支給しない」と文書で通知していますから、賞与の時期になっても、頭を悩ます必要はないのです。

しかし、頑張ってくれている人にいくばくかの賞与を支給したい場合、「寸志」という名目で賞与を支給することも可能です。「寸志」ですから、心ばかりの金額になりますが、アルバイトやパートにとって思いがけない贈り物となり、モチベーションが上がることが期待できます。先にも述べましたが、寸志を支給する際には、支給基準を明確にし、今回限りの「寸志」であることを理解してもらってください。

寸志を支給する場合の支給金額

では、アルバイトやパートに賞与を支給する場合、どれくらいの金額で、どのような支給基準が妥当なのでしょうか。
一般的な支給基準としては以下のような方法があります。

寸志の算定期間中の基準出勤率以上の人に支給

寸志を支給する日から遡り、いつから勤務しているかと、どれだけの時間を働いてくれたかにより、一定額に出勤率をかけて、支給対象の人と支給額を決める方法です。例えば、出勤率は月80時間を100パーセントとし、寸志の支給日の半年前から勤務していて、かつ勤務時間が月平均で80時間以上ある人を支給対象とします。

この支給方法は、企業への貢献率、イコール稼働時間という考え方で、事務職などのコンスタントに一定の仕事をする職種に向いた支給方法です。

売上達成率に基準金額をかけて支給

売り上げの目標値を設定し、目標値から上回った売り上げに対して、基準金額に売り上げ達成率をかけて寸志を支給します。例えば、基準金額が2万円、目標売上金額が20万円で、22万円を売り上げた場合、基準金額に110パーセントをかけた2万2千円が寸志の金額になります。この支給方法は、少ない時間の勤務でも営業力が高い人に、たくさんの金額が支給されるため、実力のある人が優遇されることになります。

アルバイトやパートに正社員並みの賞与を出す企業もある

アルバイトやパートでも、正社員と同じように働き、同じように戦力になっている場合、正社員に匹敵する金額を賞与として支払う企業がまれにあります。その場合、アルバイトやパートとは言っても、本当にフルタイムの稼働があってのことでしょう。

正社員を雇用するには、社会保険料、厚生年金保険料や福利厚生費用などを合わせると、社員に支払う給与の1.2倍から1.5倍近い金額が必要になります。それらが必要ないアルバイトやパートが、正社員と同じだけの仕事ができるのなら、正社員並みの賞与を支払っても、おつりがくるという考え方もできるのです。

アルバイト、パートに賞与を支給する、しないのまとめ

企業にはアルバイトやパートに賞与を支給する義務はありませので、多くの企業が賞与を支給していません。もし、アルバイトやパートに寸志というかたちで賞与を支給する場合は、賞与の支給基準を明確にすることが大切です。

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