美容院や理容室の賞与(ボーナス)の特徴をご紹介します
美容院や理容室には、基本的に夏、冬に決まって支給する賞与はありません。なぜ賞与が決まって支給されないのか、その背景と賞与の特徴をご紹介します。
美容院と理容室の違い
美容院と理容室の違いを、美容院は女性が利用するところで、理容室は男性が利用するところと、何となく思っている方も多いでしょう。
実は、美容院と理容室は、法律によって業務範囲が明確に定義されています。
美容とは「化粧、結髪、パーマなどにより容姿を美しくすることこと」であり、理容とは「頭髪の刈り込み、カット、シェービングやそれに付随することなどで容姿を整えること」です。
美容院と理容室では、業務範囲が重複する部分もありますが、大きな違いは「シェービング」ができるかどうかになります。理容室では、剃刀を使って男性の髭をそることができますが、美容院では男性の髭をそることができません。男性の硬い髭を剃ることは、理容師だけができる特殊技術なのです。
美容師・理容師の年収と賞与の関係
美容師・理容師の平均年収は、例年300万円前後で推移しています。また、年齢が上がったからといって年収が上がるわけではありません。
一般企業では年収における賞与の割合は、20パーセントから35パーセント程度になっていますが、美容師・理容師の年収と賞与の関係はどうなっているのでしょうか。
美容師・理容師の賞与は、数万円程度の支給が多く、年収のおける賞与の割合は2パーセント程度と、一般企業の10分の1以下の割合になっています。
美容師・理容師は職人の世界
美容院や理容室で働く理容師や美容師には、昔から賞与という概念がありません。もともと個人経営の師弟関係で成り立つ職人であるため、勉強しながら働いてもらうという昔からの体制が、いまだに残っているために、賞与という概念が薄いのでしょう。
弟子であるアシスタントと師匠である美容師・理容師
そもそも美容院や理容室には、アシスタントと1人前の美容師・理容師がいることをご存知でしょうか。
美容師・理容師とは、下積み期間を終了し、アシスタントの指導をしながら、美容・理容を行う1人前の職人です。
アシスタントとは、美容師・理容学校を卒業して、美容院・理容室に就職した美容師・理容師のタマゴたちです。アシスタントの仕事は、その名の通り美容師・理容師をアシストすることですので、シャンプーやお店の清掃、お客様のパーマのロットを巻いている美容師にロットを渡す、ヘアカラーのカラー液を混ぜるなど、補助的な仕事をします。いわゆる下積み期間ですね
この下積み期間は、3年から5年程度になります。
アシスタントは賞与がない
アシスタントには、ほぼ賞与がありません。なぜなら、アシスタントは美容師の補助をするのか仕事であり、コストパフォーマンスがとても低いため、賞与を支払えないのです。
売り上げやノルマを達成すると、賞与を支給するシステムを採用している美容院や理容室は多いのですが、アシスタントには、売り上げがないので、賞与を支給するためには、ノルマを達成してもらうしかありません。しかし、お店に勤めて間もないアシスタントには、ノルマを達成するための技術力や営業力はないため、結果的にアシスタントには賞与がないのです。
美容院や理容室の賞与は歩合制
基本的に美容師には夏と冬にボーナスを支給するシステムはありません。多くの美容院や理容室は歩合制を取っているため、決まった時期に賞与を支給する美容院や理容室はごく少ないのです。歩合制という給与や賞与のシステムは、昔から職人が出来高制だったことの名残かもしれません。
何らかのノルマを達成したご褒美として、賞与を支給する美容院や理容室は多いのですが、一般的な賞与と呼べるような金額でなく、モチベーションをアップさせるためのものでしかありません。
売り上げランキングによる賞与システムも
美容院や理容室によっては、ノルマ達成での賞与ではなく、店内の売り上げランキングを採用しているところもあります。売り上げランキングでの賞与システムは、店内の売り上げの上位者にご褒美として、賞与を支給するシステムです。
売り上げには、指名料やヘアケア製品、コスメティックなどの美容品を含んだトータルの売り上げを計上し、集計単位は月間ランキング、4半期ランキング、半年ごとのランキングなど、お店によりさまざまになっています。
また、この場合の賞与も一般企業並みの支給額ではなく、寸志といえる金額ですが、その寸志の支給対象にならない社員がいる美容院や理容室もあるのです。
美容院や理容室の賞与の特徴のまとめ
美容院や理容室には、決まった時期に賞与を支給するという概念がありませんでしたが、昨今ではお店で働く美容師・理容師のスキルと営業力によって、売り上げやノルマを達成した場合に、ご褒美として、少額の賞与を支給するお店が多くなりました。たとえ少額でも賞与は、モチベーションのアップには欠かせない要素ですね。