知らないと大変なことに?経営に与える残業の問題
企業経営者にとって人件費ほど頭を悩ませる経費はありません。従業員が期待した実績を上げる場合はまだしも、新入社員の教育期間であったり、従業員の資質により費用対効果を得られない場合も多々あるのが現状です。そんな中でも特に頭を悩ませるのが残業代。法律で一定割合を加算しなければならない残業代。この残業代の具遺体的な計算方法の詳細についてお伝えし行きます。
何時間働いたら残業になるの?
残業になるかどうかは労働基準法に規定されています。労働基準法によると1日8時間週に40時間を超えてする労働は原則として認められていません。これを超えて労働をした部分は時間外労働になります。そして、この時間外労働に対して払われる賃金が残業代で一定の割増賃金を支払わなければならない旨が労働基準法に規定されています。
なぜ残業ができるの?
労働基準法上は基本的に残業が禁止されています。では、なぜ使用者は従業員に残業をさせることができるのでしょうか。それは同じく労働基準法に書面により労使協定を締結し労働基準監督署に届け出た場合には残業をさせても良いということが書かれているからです。つまり、労働者の許可と使用者との話し合いで決まった場合には残業をさせることが可能になる訳です。
違法な残業
しかし、この届出をしたからといって何時間でも残業をさせていいかというとそうではありません。どんな協定を結んでいたとしても、基本的に1ヶ月45時間を超える残業は違法になります。ただ、世の中にはさまざまな業種があります。繁忙期など特別忙しい時季だけ残業させ、そのほかは残業をしないというような場合には変形労働時間制がとられます。この場合は、1ヶ月単位で限度を計算するのではなく1年あたりの範囲内で残業時間の上限を判定することができます。
残業代はいくらになるの
さて、残業代の計算には一定の割合を加算しなければなりませんが、具体的にどのくらい加算させなければならないのでしょうか。具体的には、時間外に労働をさせた場合は、通常の労働時間または労働日の賃金の2割5分以上の賃金を支払わなければなりません。しかも、1ヶ月当たりの労働時間が60時間を超えた場合にはこの割合が5割以上になります。ただしこの制度は中小企業には現代のところ適用されていません。
ちなみ休日に労働させた場合には3割5分以上、22時から5時までの深夜に労働をさせた場合は2割5分以上、また深夜に時間外労働をさせた場合には5割以上の割増賃金を支払わなくてはなりません。
残業理由
このように残業をさせるということは、とても人件費がかかることになるのです。また、従業員の体調にも影響するので残業をなくすことは会社にとってとても大事なことになってきます。そもそも残業はなぜ起こるのかその理由として以下のようなことが考えられます。
- 人員配置がうまく行っていない。
- 現場に残業を奨励する雰囲気がある。
- 従業員が残業代で意図的に給料を増やそうとしている。
- 業務効率が悪い。
などです。
残業代を減らす具体的な方法
では、残業代を減らす具体的な方法としてどのような方法があるのでしょうか。一つには固定残業代を払うようにすることです。労使協定で時間を決めある一定までの残業については固定させてしまう方法があります。この方法を使うことにより、残業代を意図的に稼いでいた人は無駄な仕事をしなくなり、業務効率を上げる方向に向かうことになります。また、残業する場合には事前に上司に届けさせるなどして、残業をしにくい環境を職場内に構築することも残業を減らすために有効となります。
何をするにしてもそうですが、現状をしっかりと把握せずにこのような方策をとっても効果を発揮しない可能性があります。ですので、まずは現状をしっかりと把握し、なにが原因かを掴むことが肝要であります。しっかり把握することにより自ずとその解決策も見えてくることでしょう。
残業に関する今後の法改正
前述しましたが、中小企業を除く事業者は、1ヶ月に60時間を超える残業については5割以上の割増賃金を支払わなければなりません。しかし、平成31年4月からはこの制度が中小企業者にも適用される方針が厚生労働省より示されました。いよいよ本格的に中小企業者も残業ゼロを目指した対策をしていかなければ人件費が経営を圧迫することになります。いかに効率性を上げ、残業代を減らすかは経営における最重要課題と言えるでしょう。
まとめ
高度経済成長期のように社会が猛烈な勢いで成長しているときは、残業ありきの経営が効を奏すということもあったかもしれません。しかし、時代は常に変化しその変化に以下に対応していくかが経営者の腕の見せ所になります。少子高齢化人口減少社会の中で、これからは残業を要求する時代ではなく如何に効率性、生産性を上げていくかが大切になってきます。その意味で残業問題に早急に取り組むことが企業経営者として企業を維持していくために重要なファクターとなることは間違いありません。