平成27年度の社会保険料の改定内容、雇用保険の適用時期に注意を
平成27年度から労災保険率、労務費率、第2種・第3種特別加入保険料率が改定されました。雇用保険料率には変更はありませんが、雇用保険を給付する場面での基本手当(失業給付)の額は変更になります。また、その時期は年度途中からですので注意が必要です。
まず、労災保険の保険料率の改定について説明し、雇用保険については後述します。
1、労災保険の保険料はこうなりました
平成27年度の労災保険の概算保険料からは新しい料率を使うことになりました。
(1)御社は労災保険率の改定のあった事業ですか?
- 漁業の海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く)、定置網漁業又は海面魚類養殖業が改定されました。
- 鉱業の石灰石鉱業又はドロマイト鉱業、原油又は天然ガス鉱業、採石業、その他の鉱業が改定されました。
- 建設事業の水力発電施設、ずい道等新設事業、道路新設事業、舗装工事業、鉄道 又は軌道新設事業、建築事業(既設建築物設備工事業を除く)、機械装置の組立て又は据付けの事業、その他の建設事業が改定されました。
- 製造業では、これら以外の事業において改定がありました。食料品製造業、コンクリート製造業、陶磁器 製品製造業、その他の窯業又は土石製品製造業、金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめっき業を除く)、洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めっき業を除く)、めっき業、機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く)、電気機械器具製造業、船舶製造又は修理業、計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く)以外の事業です。
- 運輸業では、港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く)と港湾荷役業に改定がありました。
- その他の事業では、農業又は海面漁業以外の漁業、清掃、火葬又はと畜の事業、倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業に改定がありました。
- 船舶所有者の事業では船舶所有者の事業に改定がありました。
料率の詳細は厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署のサイトや担当窓口にお問い合わせください。
(2)労働費率も改定されています
請負による建設事業において、賃金総額を正確に把握することが困難な場合には、保険料の算定に「労務費率」が使用されます。その労働費率にも改定がありました。
建設事業のうち、水力発電施設、ずい道等新設事業が19から18%に、鉄道又は軌道新設事業が25から23%に、建築事業(既設建築物設備工事業を除く)が23から21%に、既設建築物設備工事業が23から22%に、機械装置の組立て又は据付けの事業(組立て又は取付けに関するもの)が40から38%に、機械装置の組立て又は据付けの事業(その他のもの)が22から21%に、そして、その他の建設事業が24から23%に改定されました。
(3)第2種特別加入保険料率の改定は?
第2種特別加入保険料率を使用する事業又は作業の種類には番号がついており、特1から特18まで、事業や作業の種類があります。そのうち、特2、特4、特5,特14,特16を除く種類で改定がありました。第二種の特別保険料率も料率の増えた事業と減った事業があります。詳細は厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署のサイトや担当窓口にお問い合わせください。
また、第3種特別加入保険料率は、1,000分の4から1,000分の3に引き下げになりました。
2、雇用保険の失業給付の改定と適用時期
雇用保険の保険料率には改定はありませんでしたが、失業給付には改定がありました。失業給付である基本手当日額が変更になったのです。これは平成27年8月1日からの適用ですのでご注意ください。
従業員が退職したら、その従業員が次の仕事をできる状態なのに見つけられない場合に給付されるのが雇用保険の失業給付です。この金額は離職前の給与の賃金日額や基本手当日額をもとに計算されます。賃金日額は「毎月勤労統計」をもとに毎年8月1日にその額が変更されます。平成27年の変更では、前年の平成26年度の平均給与日額が前年比0.07%増だったため賃金日額の上限が少々引き上げられたのです。
賃金日額と基本手当日額は、離職時の被保険者の年齢ごとに、その上限と下限が定められています。その上限額が、前年に比較してそれぞれ5円ずつ引き上げられました。それぞれの年齢による具体的な額については、離職者はハローワークで失業給付の手続き時に知ることができますが、前もって調べるには厚生労働省や都道府県労働局、ハローワークのサイトや窓口で知ることができます。