給与計算と違うの?賞与(ボーナス)の計算業務の流れを解説します
ボーナスに関する実務
ちなみに、ボーナスとは別名賞与ともいわれ健康保険法での定義があり「3カ月を超える期間ごとに受けるもの」とされています。言わば、年3回まで支給されるものはボーナスという扱いになり、4回以上支給されるものはボーナスとはならず、所得税や社会保険料の計算上は、月ごとの給与と同じ扱いをしなくてはなりません。
社内での呼び方が仮にボーナスというものであったとしても、法律上ボーナスに該当するかどうかによって扱いが変わってきます。 大部分の会社が夏期と冬期の年2回、もしくは決算賞与の年3回の頻度でボーナスを支給しています。
ボーナスについても、月ごとの給与と同じように社会保険等の控除を行う必要があり、差引支給金額を算定する必要があります。
いざ社会保険料の計算へ
ボーナスから、社会保険料控除として含まれる健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料をそれぞれ計算し控除します。 ただし、控除されるのはボーナスが支給された月の月末にその社員が在籍していた場合のみに限られています。
一般企業でよくあるボーナスをもらって退職するという場合はこれには該当しません。ボーナスの支給後、月末までの間に退職する場合は、ボーナスから控除すべき社会保険料は控除することなく支給します。 また、それぞれの会社の労使協定での規定があれば、法で定められている事項以外についても控除することが可能です。
例えばこれに該当するものに財形貯蓄などがあります。 社会保険の控除 ボーナスからの社会保険料控除の一つである健康保険料は、毎月の給与計算とは異なる計算方法を行います。ボーナスの総額から千円未満の端数を切り捨てた標準賞与額に健康保険料率をかけて健康保険料計算します。その半額を月給の計算の際と同じように社員負担分として控除しもう半分は会社が負担する金額となります。
計算式で言うのであれば「標準賞与額×健康保険料率=健康保険料」という形になるのです。
健康保険料計算には注意が必要です 健康保険は、年度のボーナスの合計額が573万円までが対象となっております。今回改定がありました。それまでは540万円でしたが上限の引き上げがありました。573万円を超えて支払われたボーナスについては健康保険料の対象にはなっていませんので注意が必要です。
40歳以上65歳未満の在職社員については介護保険料の計算も必要です。 そもそも介護保険料は「40歳の誕生日の前日」という規定があります。つまり毎月1日生まれの方の場合、誕生月の前月に支給されたボーナスから介護保険料の控除をしなければならないことになります。
厚生年金保険料の控除について
健康保険料のばあいと同じように標準賞与額に厚生年金保険料率をかけて厚生年金保険料を計算します。その金額の半分を社員負担分として控除し残りの半分は会社側が負担します。 計算式にすると「標準賞与額×厚生年金保険料率=厚生年金保険料」という形になります。
厚生年金保険料計算についての注意点
厚生年金保険は、1回のボーナスの額が150万円までが対象となっています。150万円を超えて支払った賞与については健康保険料の対象にはならないので注意が必要です。 厚生年金保険料は、毎年9月に料率があがります。ボーナスの支給が9月以降のときは、新料率での計算になります。
雇用保険料の計算について
雇用保険料の算出方法は月給のときと同じなので、ボーナスの額に雇用保険の被保険者負担分料率をかけて計算します。
雇用保険料計算についての注意点
雇用保険料は被保険者以外から控除するようなことは絶対にありえません。 同一の労働者であったとしても労災保険は全額が事業主の負担で被保険者負担分はありません。その点には注意が必要です。
源泉所得税の計算方法について
ボーナスからも源泉所得税を計算し控除しなければなりません。しかしその計算方法は月給の際の計算方法とは異なるので注意が必要です。ちなみに通常は給与源泉よりも高い率での計算となります。
源泉徴収額の算出率の決め方について
源泉所得税は、ボーナスから社会保険料を控除した、控除後の課税対象額に、賞与に対する源泉徴収額の算出率をかけて計算します。この算出率は、前月の社会保険料等控除後の給与額と扶養家族の数を賞与に対する源泉徴収額の算出率の表から選んで計算します。扶養家族の数は毎年提出する扶養控除申告書により確認することができます。
源泉所得税計算についての注意点
ボーナスの金額が前月給与の10倍以上になるときや、ボーナス支給の前月に給与の支払いがない場合、つまり賞与支給の月に入社した場合は、先に紹介した計算方法ではなく、支給額を6で割った金額を毎月の給与と同じように給与所得の源泉徴収税額表から算出し、その金額に6を掛けます。これがボーナスを支給した際の計算業務の大まかな流れになってきます。
これを参考に給与の計算と混同しないように慎重に計算する必要があります。