派遣社員の労務管理はどうやって行う?派遣元企業と派遣先企業の責務は?
自社で派遣社員を受け入れる際、どのように労務管理を行うべきか分からない方も多いのではないでしょうか。
派遣社員の労務管理は直接雇用の場合と異なり、派遣元企業で行う業務も多く、管理方法について正しく知っておく必要があります。
本記事では、派遣社員の労務管理の方法を解説します。
派遣元企業と派遣先企業の労務管理内容
派遣元企業の労務管理内容
派遣元企業の労務管理内容は主に以下となります。
- 賃金や有給休暇
- 産前産後休業
- 災害補償
- 健康診断
時給や振込先口座、有給休暇の取得状況などは派遣元企業が管理するため、派遣先企業が派遣社員に対して時給の交渉や振込先口座の変更を希望する場合は、派遣元企業へ申し出なければなりません。
また、派遣社員が有給休暇を取得する際も、派遣元企業へその旨を報告・相談する必要があります。
派遣先企業の労務管理内容
派遣先企業の労務管理内容は主に以下となります。
- 就業時間(休憩・遅刻・早退)
- 時間外労働
- 休日出勤
就業時間や休憩時間、遅刻や早退などは派遣先企業が管理するため、派遣社員が遅刻や早退をした際の連絡は派遣先企業が受けます。
就業時間の変更など、契約内容そのものに変更が生じる場合は派遣元企業へ報告しなければいけません。
給与計算もあくまで労働時間を報告するだけで、基本的に派遣元企業が行います。
時間外労働や休日出勤も派遣先企業が管理しますが、派遣社員と派遣元企業の双方で協定を交わし、就業条件明示書にもこれらの労働について記載する必要があります。
派遣先企業が労務管理を行う際の注意点
派遣社員の契約変更は慎重に行う
派遣社員を休日出勤や時間外労働させる場合は、派遣元企業と派遣社員とで36協定を締結する必要があります。
契約にない業務をさせると、規定に反しトラブルにつながるため、些細なことでも契約内容に変更が生じる場合は三者間で協議し合意するようにしましょう。
万が一トラブルになってしまった場合は、労働局やハローワーク、労働基準監督署などに相談しましょう。
※36協定とは
「時間外・休日労働に関する協定届」とも呼ばれ、 労働基準法第36条により、会社は法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働及び休日勤務などを命じる場合、労組などと書面による協定を結び労働基準監督署に届け出ることが義務付けられていること。
「派遣労働契約」に関する制度を理解する
派遣社員の労務管理は、さまざまな事項が法律で定められています。そのため、厚生労働省のホームページを参照し、法律を遵守するよう心がけましょう。
参考:
派遣先が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省
派遣先の皆様へ|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
締結・受け入れ・終了時の主な制度は以下となります。
[締結]
派遣社員の指名や事前面接の禁止
[受け入れ]
派遣社員100名につき1人の派遣先責任者の選定(人事・労務に関する知識をもつ人物)
派遣社員ごとに、氏名・派遣元企業名・派遣就業日などの情報を記載する派遣先管理台帳の作成
派遣社員の受け入れ時、テキストなどを活用し、関係者へ派遣労働に関する法令の周知徹底
[終了]
3年間の派遣期間満了後、派遣社員を継続して使う場合、該当社員への雇用契約申し込みの義務化
離職して一年以内の派遣スタッフの再雇用は禁止
まとめ
派遣社員の労務管理においては、派遣先企業と派遣元企業にそれぞれ責務があり、正しい知識をもっておく必要があります。
労働時間は派遣先企業が管理し、賃金や有給休暇などは派遣元企業が管理しますが、あくまで雇用契約は派遣元企業と派遣社員とで結んでいるため、契約内容を変更する際は必ず三者で協議を行い、トラブルが起きないようにしましょう。