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無料で使える給料計算ソフトでどこまでできるの?

給料計算業務、大変ですよね。項目もたくさんあり、ミスをしてはいけない計算作業というものをそれぞれの従業員の分全て作る作業は神経を消耗させる作業だと思います。小規模企業の中には給与明細をまだ発行していないという会社もあるかもしれませんが、法律で発行義務があるためその状態を続けていくわけには行きません。

もしこれが、ソフトである程度自動化できるのであれば・・・。
そう思っても、新しいソフトの導入に予算なんてつかない・・・
そういう会社も多いのではないでしょうか。

そんな、給与計算ソフトに費用をかけられない給与計算担当者の方のために無料で使える給与計算ソフトでどこまでできるのか実際に使ってみました。

無料で使える給与計算ソフトの比較

候補その1:給与ネット

一画面で完結するシンプル簡単な給与計算ソフト

  • 基本給および支給項目の金額を入力
  • 社会保険については等級および都道府県を選択することで自動計算。
  • 雇用保険は事業を選択することで自動計算
  • 甲欄の場合の扶養人数選択、又は乙欄を選択可能。

給与ネットのメリット

  • 計算対象が何人でも何回でも計算可能
  • ログインや会員登録が不要でとても手軽に利用できる
  • 給与明細そのままの入力フォームがイメージしやすい
  • URLを保存しておけば何度でも呼び出せる
  • 完全無料
  • 給与ネットのデメリット
  • 一人ずつ給与明細を作っていく必要があるため複数人の計算は大変
  • URLを改変すると内容が書き換えられてしまう
  • 通信が暗号化されていないため個人情報入力に懸念がある

給与ネット総評

URL改変で内容が書き換わってしまうため、従業員に交付するためには人数分印刷を行って渡す必要がある。また、毎回URLをブックマークするなどして結果を保存する必要があるため情報管理が難しい。通信も暗号化されていないため、個人情報の流出の懸念もあり、実務での使用は難しいようにも感じます。

自分ひとりだけの会社で計算を簡単にするという用途には活躍しそうです。

候補その2:フリーウェイ給与

機能は多いが、その分入力画面も多く、慣れるまで時間がかかりそうといった印象。
年末調整まで無料で行える唯一のソフトであり、税理士・社労士さんの支援を受けずに全て自社で完結させることもできる。
  • 会社情報を入力
  • 従業員情報を入力
  • 給与支給日を入力
  • 従業員ごとに給与明細項目を入力
  • 社会保険
  • 雇用保険
  • 所得税計算(甲欄乙欄扶養)

フリーウェイ給与(無料版)のメリット

  • 帳票数が多く、年末調整も可能
  • 過去も未来も入力可能
  • 5人までなら無料で使用可能
  • 給与明細の一括メール送信が可能
  • 通信が暗号化されており個人情報の通信も安心
  • フリーウェイ給与(無料版)のデメリット
  • 画面数が多く、複数人の入力にはある程度時間がかかる
  • 社員、アルバイトが合計6人を超える場合は有料版の購入が必要

フリーウェイ給与(無料版)総評

無料で使えるソフトの中ではかなり機能が多く、従業員が5人以下の会社であればかなり良いのではないでしょうか。ただ、機能が多い反面で画面数も多いため、5人のデータを入力するためには何度も画面を切り替えて入力する必要がありました。作成した給与明細はメールで従業員に送ることができます。給与計算だけではなく、年末調整やその他帳票も全てこのシステムで作るような形であればよいのですが、毎月の給与計算は自社で行い、年末調整等は社労士や税理士に依頼しているケースでは機能過多かもしれません。給与計算だけでなく、年末調整や源泉徴収表の作成などの税務面も含めて自社の経理担当が行うのであればベストだと思われます。

従業員数が6名を超える場合は月額1,980円(税込2,178円)の年間契約で23,760円/年(税込26,136円)となるため、将来の有料版移行を考えると小規模事業者には厳しいコストとなる可能性もあります。

候補その3:ペイブック

必要十分かつシンプルな給与計算ソフト。
画面数が少なく、複数従業人分を一気に入力できるインターフェイスが特徴。

  • 会社情報を入力
  • 従業員情報を入力
  • 月を選択して、複数従業員分を一気に入力

ペイブック(無料版)のメリット

  • 画面数が少なくすぐに習得可能
  • 従業員給与を一覧で複数人同時に入力可能で、10人分の入力もすぐに完了する
  • 10人までなら無料で使用可能
  • 給与明細の一括メール送信が可能(※料金表では○が入っていませんでしたが、ボタンが表示されたので使えるのかなと思っています)
  • 通信が暗号化されており個人情報の通信も安心
  • ペイブック(無料版)のデメリット
  • 無料版では過去3ヶ月分の入力しかできないため、過去の給与明細の作成は不可
  • 社員、アルバイトが合計6人を超える場合は有料版の購入が必要

ペイブック(無料版)総評

10ユーザーまで無料で給与計算ができるのは、無料で使える人数としては最も多いのではないでしょうか。従業員数が11名を超える場合は有料版への以降となりますが、その場合は年間契約で10,000円(税込)とクラウド型給与計算ソフトの中では安価なのが特徴です。年末調整の機能はありませんが、税理士などの専門家が多く導入しているNTTデータ社「年末調整・法定調書の達人」へのデータ連携が可能なため、毎月の給与業務は自社で行い、年末調整は税理士や社労士の支援を受ける場合は十分でしょう。複数人の給与情報を一気に入力ができる画面はとてもスピーディーに入力を終わらせることができました。画面数もとても少なく、すぐに給与計算業務が終わります。作成した給与明細はメールで従業員に送ることができます。

無料の範囲内で実際に使ってみてわかった給与計算ソフトのメリット

エクセルのテンプレートを使用する場合は従業員の年月ごとにファイルを分けて管理することになりました。従業員ごとの住民税額や、基本報酬月額を前月のファイルを開いてコピーして、計算式を入力してPDFで保存します。

それに対して、給与計算ソフトを活用した場合は無料の範囲内の利用だとしてもかなり楽に作成することができました。各種税、社会保険料の計算が自動化されるだけではなく、社員への給与明細の交付もメールで一気に送ることができます。メールに添付して送信する場合は誤って別の社員に送ってしまうリスクがあり毎回ヒヤヒヤするものですが、そういう心配がないのも嬉しいですね。

給与明細作成の各工程をエクセルの場合と、無料版給与計算ソフトの場合で比較すると以下のようになります。

給与明細作成工程 エクセル(テンプレート利用) 給与計算ソフト(10名まで無料)
勤怠情報の入力 タイムカードや出勤簿を見て計算を行う
社員の管理 エクセルファイルをコピー 社員情報を入力
社員情報入力 名前のみでも作成可能税額表(甲乙区分)、扶養人数、標準報酬月額は計算のために必要 名前、税額表(甲乙区分)、扶養人数、標準報酬月額、メールアドレスを入力
基本給や交通費など支給項目の入力 前月のエクセルファイルを見ながら入力 前月から自動入力。変更がある場合のみ修正
健康保険料 標準報酬月額表により入力 自動計算
介護保険料 標準報酬月額表により入力 自動計算
厚生年金保険 標準報酬月額表により入力 自動計算
雇用保険料 関数で計算可能 自動計算
所得税 扶養人数を確認し、計算 自動計算
住民税 前月のエクセルファイルを見ながら入力 前月から自動入力。変更がある場合のみ修正
給料の振り込み オンラインバンキングなどで手作業振り込み 全銀データを出力し、一斉振り込み
給与明細の交付 印刷して手渡し、またはメールに添付して送信 メールで一斉送信
会計システムへの入力 全員の給与明細の金額を支給、控除それぞれ合計して入力 給与計算ソフトに表示されている合計支給額および控除額を入力

無料の給与計算ソフトでどこまでできるかまとめ

これまで見てきたように、かなり多くの工程が自動化されて、作業負担が減り、ミスをするリスクもなくなっていることがわかるのではないでしょうか。

今回使用した給与計算ソフトは無料で使えるのが10名までのため、それ以上の人数になると有料版を購入する必要がありますが、エクセルでの管理も10人を超えたらかなり大変になるため社員が増えたら有料版を使用しても良いと思えるのではないでしょうか。

なにより、ベンチャー企業の立ち上げ期や小規模事業者の場合は専門の人事労務担当者がおらず、予算もないという状態だと思いますが、そのようなときに無料でここまで活用できるのはとても嬉しいと思いました。もしまだエクセルや手作業で計算して給与明細を作成しているのであれば、無料で使用可能な給与明細作成ソフトを試してみるのはどうでしょうか。

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