給与計算ラボ

手取りと額面の違いとは?給料から引かれる項目・計算方法について解説!

給料を受け取る際、「手取り」と「額面」の2つの言葉をよく聞くかと思いますが、それぞれの意味について分からない方も多いのではないでしょうか。
実際には、手取りと額面は異なる概念であり、給料から引かれるさまざまな項目や計算方法が関与します。
この記事では、手取りと額面の違いについて詳しく解説し、給料から引かれる項目と計算方法についても説明します。

手取りとは?

手取りは、給料を受け取る際に手元に残る金額を指します。つまり、銀行口座に入金される実際の金額です。
給与から所得税、社会保険料、その他の差し引かれる項目を差し引いた金額が手取りとなります。

額面とは?

額面は、契約給与や給与明細に記載されている金額で、雇用主から支給される給与の合計金額を指します。
働いた時間や取り決めに基づいて計算され、通常は税金や保険料が差し引かれる前の金額です。

給料から引かれる項目・計算方法

手取りと額面の違いを理解するには、給料から引かれる主要な項目と計算方法を知ることが重要です。

1.所得税

所得税は、個人の収入に課される税金です。
収入の額によって税率が異なり、扶養親族の数によっても異なります。

所得税は源泉徴収制度が採用されており、会社員の場合は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整や確定申告などで最終的な税額が確定します。
多く徴収していた場合には還付され、徴収額が少ない場合には不足分を納付する仕組みです。

2.住民税

住民税は、その年の1月1日時点で住民票のある都道府県と市区町村に納める税金です。
非課税限度額以上の収入のある方に定額で課税される「均等割」と、所得金額に応じて課税される「所得割」で構成されています。

住民税は、所得税とは異なる「特別徴収」という制度によって給与から天引きされます。
昨年の年収をもとに税額が計算されるため、社会人1年目の方は住民税が控除されず、2年目以降に控除が開始されます。

一般的に、5月頃にお住まいの自治体から納税通知書が送付され、6月から住民税の控除が始まります。そのため社会人2年目の6月以降は、手取りの金額が少なくなるケースが多いので覚えておきましょう。

3.健康保険料

健康保険料は健康保険に加入している方が支払う保険料です。健康保険に加入していると、医療サービスが原則3割の自己負担で受けられたり、医療費が高額になったときの軽減措置を受けられたり、ケガや病気で働けなくなったときに手当金を受け取ることができます。
保険料は、収入と保険者(加入している保険組合)によって異なり、算出された保険料を会社と社員が分割して負担します。

4.介護保険料

介護保険料は40歳以上の方が支払う保険料です。介護が必要な高齢者のための、介護保険制度の財源に使われます。
保険料は、収入と保険者(加入している保険組合)によって異なり、算出された保険料を会社と社員が半分ずつ負担します。

5.厚生年金保険料

厚生年金保険料は、厚生年金に加入している方が支払う保険料です。
日本の公的年金制度は国民年金保険と厚生年金保険の2種類があり、会社員の場合は厚生年金保険に加入するのが一般的です。
一定期間、保険料を納めることで、原則として65歳になったとき「老齢年金」を受け取れるようになります。
保険料は収入によって異なり、算出された保険料を会社と社員が半分ずつ負担します。

6.雇用保険料

雇用保険料は、雇用保険料に加入している方が支払う保険料です。
失業した際に求職者給付が受けられるほか、就職促進給付や教育訓練給付などの事業にも使用されています。

雇用保険料は業種ごとに保険料率が異なり、会社が約6割、社員が約4割負担します。
令和5年時点の社員の負担は、建設業や農林水産業・清酒製造業にお勤めの場合は給料の0.7%、その他の事業にお勤めの場合は給料の0.6%です。
(毎年4月に改訂され、最近はコロナの影響で上昇しています)

7.その他の控除金額

勤務先で労使協定が結ばれている場合、税金や社会保険料以外にも給与から差し引けます。たとえば、下記のような金額です。

● 財形貯蓄
● 社宅費や寮費
● 物品の購入代金
● 組合費
● 住宅等融資返済金

年収と手取りの目安

前述の通り、各種控除を考慮して計算を即座に行うのは至難の業です。
おおよその目安が知りたいという方は、以下を参考にしてください。
※所得税・住民税率や扶養家族の有無などによって手取り額が異なるため、あくまでも概算となります。

年収

手取り
1000万円以下 額面給与の約70~80%
1000万円超2000万円以下 額面給与の約60~70%
2000万円超 額面給与の約50~60%

例)年収600万円の場合
600万円×0.7~0.8=420万円~480万円

まとめ

手取りと額面の違いを理解することは、実際の生活において経済計画を立てる上で重要です。
給料を受け取る際には、手取りが実際の使えるお金であることを考慮に入れ、収入に対する税金や保険料などの引かれる項目について理解しておきましょう。

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