美容サロン開業に必要な税金は?経費計上や節税対策のポイントを徹底解説!
個人事業主として美容サロンを開業する際、売上・経費の管理はもちろん、それに伴った税金の知識が必須です。
本記事では税金の種類や確定申告の方法、経費計上や節税対策のポイントについて紹介していきます。
美容サロン開業に必要な税金は?
1、所得税
個人事業主には、毎年1年間に稼いだ所得に対して「所得税」が課税されます。
所得には、給与所得、不動産所得など10種類あるのですが、美容サロンなどの経営で得るものは「事業所得」に当たります。
この所得については、毎年税務署に確定申告を行い納税する必要があります。
所得税は所得金額によって税率が定められており、所得が増えるほど税率自体も高くなる「累進課税」という仕組みになっています。
2、住民税
所得税が国に納める「国税」なのに対して、住民税は都道府県・市区町村に収める「地方税」です。
所得税の確定申告を行うと、その内容に基づいて税額を計算した市区町村から、納付書が送られてきます。
3、事業税
事業税は290万円以上の事業所得にかかる税金(都道府県税)です。
所得が290万円に満たなければ、課税はされません。
また、同じ「美容業」でも、所得に関係なく課税されない業種もあります。
事業税が課税される業種
課税されるのは、美容師免許が必要な、次のような業種です。
- 理容室
- 美容室
- まつげエクステンション
事業税が課税されない業種
逆に、免許が必要のない次のような業種には、事業税は課税されません。
- ネイルサロン
- リラクサロン
※ネイルサロンの事業税については県によって解釈が異なりますので、県税事務所にお問い合わせ下さい
税率も業種ごとに決まっており、美容サロンについては5%です。
したがって、事業税の額は以下となります。
(所得 − 290万円)× 5%
4、償却資産税(固定資産税)
「償却資産」は、固定資産のうち「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産」のことです。
美容サロンでは以下のものなどが該当します。
- 椅子
- 洗面設備
- パーマ器
- サインポール
これらの資産については、毎年1月1日時点の状況を、店舗のある市町村に1月31日までに申告する必要があります。
5、消費税
消費税(税率10%)の額は、原則として以下となります。
課税売上高の10% - 課税仕入れ等の10%
「課税仕入れ等の10%」とは、仕入金額などに上乗せして取引先に支払った消費税の金額(インボイスのあるもの)です。
納付の際には、忘れずにこの分を差し引く必要があります。
美容サロンに必要な経費は?
所得と売上の違いは理解していますでしょうか。
所得は売上(収入)から事業のために使った経費などを差し引いたものです。
所得税は”所得”に税率を掛けて計算されるため、同じ売上ならば、経費の大きいほうが所得は減り、支払う税金も少なくて済むことになります。
だからといって、必要のないものを買って経費を膨らませることは手元にお金が残らないため本末転倒ですが、経費で落とせるものは確実に計上することが重要です。
美容サロンでは以下のようなものが経費計上できます。
- 店舗の家賃
- 椅子などの設備の購入費、リース代
- 従業員の給与
- 水道光熱費
- パーマ液、シャンプーなどの材料費
- 電話などの通信費
- 広告宣伝費
店内に置く雑誌の購入費用も、お客さんが読むものであれば雑費に計上することができるのです。
確定申告の方法は?
個人事業主の確定申告には、青色申告・白色申告の2種類があります。
1、青色申告
青色申告には、特別控除という優遇措置があり、65万円控除・55万円控除・10万円控除の3種類があります。
複式簿記でつければ55万円控除となり、会計ソフトによる電子帳簿を利用し、e-Taxによる電子申告を行う場合は、65万円控除となります。
10万円控除であれば、簡易簿記の提出でも大丈夫です。
美容サロン経営をはじめたばかりは赤字になる年もあるかと思いますが、青色申告なら赤字になった翌年以降、3年間の繰り越し控除が受けられます。
また、専従者給与、つまり夫婦や身内への給与などを、経費控除という形で申請することも可能です。
青色申告なら、必要な手続きや書類内容が細かくなる代わりに、さまざまな控除が受けられるため、節税対策になります。
2、白色申告
白色申告には、青色申告にあるような特別控除がありません。その代わり簡易帳簿、簡単にいえば「自由な形式で家計簿のように入出金の記録が分かるもの」さえあれば、手軽に申告することができます。
白色申告は、申告書へ売上、経費のみ記入すればよく、非常にシンプルです。
ただ、前述のような特別控除も受けることができず、赤字になった際の救済措置もありません。節税を考えると、白色申告より青色申告をおすすめします。
美容サロンを開業のため店舗や土地を購入している場合は固定資産税などもかかるため、手間を惜しまず節税となる確定申告を行う方が良いといえるでしょう。
まとめ
美容サロンを開業する際は税金についてしっかり理解しておく必要があります。
理解した上で経費計上や確定申告を行うことで大幅な節税へとつながります。
また所得が一定水準を超えると、個人事業(所得税)よりも法人(法人税)のほうが、節税になります。
これから美容サロンを開業しようとしている方は税金についてしっかり調べ、自分にあった方法を検討しましょう。