給与計算ラボ

給与の年末調整と確定申告

初めて年末調整をする中小企業の経営者のための、年末調整の説明

SOHOやバーチャルオフィス等の普及により、誰でも簡単に起業できる時代になりました。
新しいビジネスを始めるために起業し、社長としてバリバリ仕事をしているでしょう。
ビジネスが軌道に乗れば、それを拡大するべく従業員を増やすことになります。

そこで覚えておきたいのが年末調整です。
一般的な企業であれば普通に行われる年末調整ですが、この意味ややり方を知っているでしょうか?
企業したばかりの中小企業の経営者は、年末で慌てないようにしっかりと把握しておいてください。

年末調整を行う理由とは?

根本的な所から理解して行きましょう。
まず、年末調整とは何なのかと言う点からです。
簡単に言うと、年間の所得税の調整を行い、払い戻しや追加支払いをするのです。

給料から源泉徴収として天引きされている所得税ですが、これは暫定的な支払いとなって居ます。
例えば、会社を途中で退職して無職になるような状態があれば、年間の所得は減少します。
そのため、年末の所得が確定した段階で正確な所得税を計算し、取り過ぎて居れば払い戻し、少なければ追加で納税することになります。

ちなみに、個人の生活事情によっては所得税の控除が受けられるようになっています。
扶養家族や生命保険料などが関わっていると、それを証明することで所得税控除の対象となります。

他には地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除が存在しています。
このような控除は申請しないと適応されないため、損をしないようにしっかりと洗い出してまとめましょう。

確定申告と年末調整は別

年末調整と聞くと、確定申告と混同してしまう場合があります。
しかし、この2つは厳密に言うと別物なので区別して考えましょう。
年末調整とは、企業が従業員の所得税を調整する仕組みです。

給料をもらっている全員が一斉に所得税の手続きを行うと税務署が対処しきれないため、企業は従業員に対して年末調整を行う義務があるのです。
それに対して確定申告は自営業や副業をしている個人が税金を納めるものです。

分かりやすくまとめると、年末調整は企業の義務であり、毎月の給料から天引きするシステムです。
そして、年末に所得税の過不足を計算して処理を行います。

確定申告は個人で行うもので、年末にまとめて税金を支払うので大金を手元に残す管理をする必要があります。

年末調整の具体的な流れ

年末調整で絶対に必要になるのが、その年の1月から12月の給料とボーナスの金額を合計した数字です。
基本的に年収に応じた所得税を支払うことになるからです。

次に所得税の控除を考えることになります。
これは業務上に必要な経費を、所得税から差し引くものです。
業種によって認められる経費は変わってきますが、例えば自宅で仕事しているなら家賃や水道光熱費を経費として計上すれば、支払う所得税が減額されるでしょう。

ちなみにこれは、給料をもらっている従業員には関係はありません。
その代わりに給与所得控除を受けることが可能です。
実際の経費を計算するのではなく、給料収入の金額に対して一定の金額を差し引くものです。
個人であれば経費は1つずつ洗い出してまとめて行きますが、会社で働く給料所得の人は自動的に控除が決まります。

年収が180万以上360万未満なら、収入の3割 + 18万円です。
年収が360万以上660万未満なら、収入の2割 + 54万円となります。
例えば、年収が300万の人なら、108万が給与所得の控除に設定されます。

差し引くと、192万が給与所得控除後の金額になるのです。
さらにここから通勤手当等の経費を差し引き、課税所得を割り出します。
ここでは課税所得が180万になったと仮定しましょう。

次に課税所得180万に所得税率を掛けます。
所得税率は課税所得によって決まっています。
195万以下なら税率は5%、195万以上330万以下なら10%、330万以上695万以下なら20%となっています。

課税所得が180万なら、税率は5%が適応されますので、9万です。
もし課税所得が300万なら税率は10%とになり、さらに税額控除が9万7500円発生します。
そうなると、20万2500円が所得税納付額となるのです。

この金額よりも支払いが多いようなら年末調整によってお金が戻ってきますし、下回るようであれば納税します。
住宅借入金等の特別控除額などがある場合は、さらに金額が下がるでしょう。
新築物件や土地などの不動産を購入すると適応されます。

年末調整は複雑なようで簡単

年末調整では難しい単語や税金の話が出て来るので混乱するでしょう。
しかし、実際にやってみると意外と簡単なのです。
年間の給料を計算し、そこから決められた金額を差し引いて行くだけなのです。

数千万を稼ぐ高額な給料をもらっていない限り、年末調整により還付金が戻ってきます。
また、納税の過不足を洗い出す重要な書類となので、しっかりと対処するようにしましょう。

従業員が数人なら良いですが、数十人になると年末調整はかなり大変です。
残業続きにならないように手順を認識しておくと良いでしょう。

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