不慮の事故などで従業員が亡くなった。そんな時に必要な保険や年金の手続きまとめ
あってほしくないことですが、不慮の事故や病気で従業員が亡くなってしまった場合、企業は迅速にたくさんの手続きをしなくてはなりません。備えあれば憂いなしということで、万が一の場合に必要な諸手続きについてまとめました。
業務外で従業員が亡くなった場合
業務外で従業員が亡くなってしまった場合、企業は雇用保険、社会保険、遺族への給与・賞与の支払い、税金関係で迅速に対応しなくてはならない手続きがたくさんあります。
雇用保険の雇用保険被保険者資格喪失手続き
企業は亡くなった従業員が雇用保険の被保険者だった場合、雇用保険の雇用保険被保険者資格喪失手続きをしなくてはなりません。
雇用保険の雇用保険被保険者資格喪失手続きとは、離職、または死亡などの理由により、従業員が雇用保険の被保険者ではなくなった場合に、従業員を雇用保険から脱退させるための手続きの1つです。
- 提出書類:雇用保険被保険者資格喪失届
- 提出期限:死亡の翌日から10日以内
- 提出先 :公共職業安定所(ハローワーク)
提出の方法は、ハローワークに直接持ち込むほかに、郵送やインターネットからの電子申請にも可能です。郵送の場合は、切手を貼った返信用封筒を忘れずに同封してください。
その他にも以下の書類が必要です。
- 出勤簿
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 離職理由が確認できる書類
- その他
社会保険の健康保険・厚生年金保険資格喪失手続き
企業は亡くなった従業員が健康保険・厚生年金保険の被保険者だった場合、健康保険・厚生年金保険の保険者資格喪失手続きをしなくてはなりません。
社会保険・厚生年金保険被保険者資格喪失手続きとは、離職、または死亡などの理由により、従業員が被保険者ではなくなった場合に、従業員を社会保険と厚生年金保険から脱退させるための手続きです。
- 提出書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
- 添付書類:健康保険被保険者証(本人と扶養家族分)
健康保険被保険者証回収不能・滅失届(保険証を回収できない場合に添付) - 提出期限:死亡日の翌日から5日以内
- 提出先 :社会保険事務所
提出の方法は、直接持ち込み以外にも、郵送やインターネットからの電子申請も可能です。また、届け出の書類は、紙媒体の他に、電子媒体(CDやDVD)での提出ができます。
未支払分の給与の支給(未支払分がある場合)
企業は亡くなった従業員に、まだ支払っていない給与がある場合、未払い分の給与を遺族に支払います。遺族は何かと物入りですので、可及的速やかに支払いましょう。
退職金の支給(退職金制度がある場合)
企業は退職金制度がある場合、遺族に退職金を支払います。
今年度分の源泉徴収票の発行
企業は源泉徴収票を発行し、税務署に提出なければなりません。提出期限は翌年の1月31日ですが、たくさんの事務手続きがあり、埋もれてしまいがちですので、早めの対処してしまいましょう。
- 提出書類:給与所得の源泉徴収票
- 提出期限:翌年の1月31日
- 提出先 :亡くなった従業員の納税地を管轄する税務署
退職金支払いの申告(退職金を支払った場合)
企業は遺族に退職金を支払った場合、税務署に退職金支払いの申告をしなければなりません。
- 提出書類:退職金等受給者別支払調書
- 提出期限:支払った付きの翌月の15日
- 提出先 :亡くなった従業員の納税地を管轄する税務署
住民税関係の届け出
企業は亡くなった従業員の住民票がある市区町村に、特別徴収に係る給与異動を届け出なくてはなりません。
- 提出書類:特別徴収に係る給与所得異動届出書
- 提出期限:給与の支払いを受けなくなった月の翌月の10日
- 提出先 :亡くなった従業員の住民票がある市区町村
業務内で従業員が亡くなった場合
不幸にも通勤の途中や業務内に従業員が事故などで亡くなった場合、業務外で亡くなった場合の手続きに加え、企業は労災保険の手続きをしなければなりません。
労災保険の業務上死亡報告
企業は労働基準監督署に、労働者の業務上死亡の報告をしなければなりません。
- 提出書類:労働者死傷病報告
※書類の書式は労働基準監督署にあります - 提出期限:可及的速やかに
- 提出先 :所轄の労働基準監督署
企業が手伝う義務はないが手伝ってあげたほうがいい手続き
労災保険の手続きは、亡くなった従業員の遺族が申請するものですが、何かと申請手続きがわかりにくいので、企業が手伝ってあげるといいかもしれません。
◆労災保険の葬祭料の請求
- 提出書類:労働者再開補償保険葬祭料請求書
- 添付書類:死亡診断書など
- 提出期限:死亡日の翌日から2年以内
- 提出先 :所轄の労働基準監督署
◆労災保険の遺族年金の請求
- 提出書類:遺族補償年金支給請求書(業務災害の場合)
遺族年金支給請求書(通勤災害の場合) - 添付書類:戸籍謄本、死亡診断書など
- 提出期限:死亡日の翌日から5年以内
- 提出先 :所轄の労働基準監督署
不慮の事故などで従業員が亡くなった場合のまとめ
不幸にも従業員が亡くなってしまった場合は、雇用保険、社会保険、遺族への給与・賞与の支払い、税金関係、労災保険のなどの手続きなど、しなければならないことがたくさんありますが、落ち着いて可及的速やかに対処しましょう。