新入社員が入ったら必要な手続きとは? - 社会保険編
新入社員が入社したら、入社の手続きのひとつとして、社会保険の加入手続きをする必要があります。
ここで社会保険の定義ですが、ふたつの意味があります。ひとつは広義の社会保険であり、それは公的医療保険、年金保険、労働保険を合わせたものです。もうひとつは狭義の社会保険で、その内容は医療保険(健康保険)と厚生年金保険のことを言います。本サイトでは給与計算の場面で分かりやすい、後者の狭義の社会保険の意味で説明します。
1. まず新入社員の情報を集めましょう
新入社員が入社したら、その社員が社会保険の被保険者となるかどうか、社会保険の対象となるのかを確認します。それに必要な情報が、氏名・住所・性別・生年月日、マイナンバー、入社の年月日、正社員か非正規社員か嘱託かなどの雇用形態、給与形態、扶養者がいる場合はその氏名・続柄・性別・生年月日・同居しているのか・収入の有無・年金手帳の有無などです。
上記のうち、雇用形態の把握によって社会保険の対象か否かを見分けることができます。
一日の労働時間/一週間の労働時間と一か月の労働日数が御社の一般社員の4分の3以上の場合は、パートやアルバイト、契約社員でも社会保険に加入させなければなりません。ただし、4か月以内の季節労働者、2か月以内の短期雇用者、日雇いの場合は一般社員の4分の3以上の労働時間を満たしても加入させる必要はありません。
2. 健康保険と厚生年金の手続きは一緒にできます
健康保険と厚生年金は、老齢になって被保険者でなくなる年齢の違いがあるのみで、加入用件が同一ですから、新入社員の両保険の資格取得手続きは一緒にできます。その手続きは資格取得美から5日以内に管轄の年金事務所に「健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届」を出すことです。
この取得届の用紙には、資格取得の日を記入する欄があります。資格取得日とは、新入社員が被保険者になった日のことですが、これは実際に給与の対象となる仕事を開始した日ですので、入社年月日や労働契約締結日とは違う日に仕事を開始している場合には注意が必要です。
また、マイナンバー制が始まり、取得届にも新たにマイナンバーの記入欄が増えましたので、ここに新入社員のマイナンバーを記入します。ちなみに、両保険の被保険者でなくなる年齢ですが、健康保険は、原則74歳まで、厚生年金保険は原則69歳まで、となっています。ですから資格喪失の手続きは社員にそれぞれの時期が到来したら順次する必要があります。
3. 資格取得届には添付書類が必要です
新入社員の「健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届」を社会保険事務所に提出する際には、必要な添付書類があります。まず、新入社員が親族を扶養している場合には、①「健康保険被扶養者(異動)届」が必要です。また、すでに老齢年金を受給している人でしたら②「年金証書」も添付します。そして、新入社員に国民年金第3号被保険者に該当する配偶者がいる場合には、「国民年金第3号被保険者届(資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)、資格喪失・死亡、氏名・生年月日・性別変更(訂正))」を添付します。ただし、①は②と合冊されているのが普通です。
また、添付書類ではありませんが、新規採用社員が70歳以上の場合に「健康保険 厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出する際には、「厚生年金保険 70歳以上被用者 該当・非該当届」もいっしょに提出します。
4.そもそも御社は社会保険の適用事業所ですか
御社が社会保険の適用をうける事業所か否かは法律で決められています。法律で強制的に適用される事業所を「強制適用事業所」といいます。常に5人以上の従業員がいる個人事業所(会社などの法人登記をしていない事業主)と、たとえ5人未満の従業員でも法人化(登記によって法人化されます)されている事業所のうち例外の業種を除く事業所が強制適用事業所となります。
これら以外の事業所は従業員の2分の1以上の同意を得て社会保険事務所に申請し「任意適用事業所」となることもできます。任意でも適用事業所になった以上は強制適用の場合と同様に加入条件を満たす社員全員について手続きをします。
条件上は強制適用事業所でも強制適用を受けない例外の業種があり、以下の業種の事業者は自ら任意に適用を受けようとしない限り、強制はされません。
まず、第一次産業の農業、牧畜業、林業、水産養殖業、漁業等に従事する事業所は強制適用を受けません。そして、サービス業の分野では、ホテル旅館、飲食店、理容理髪、浴場、洗濯、映画演劇、ダンスホール、競馬競輪、ボウリング、野球場、保養施設等などがあります。近年、法律事務所の法人化が認められて以来、法人化する事務所が増えていますが法人であっても弁護士、司法書士、会計士、税理士、社会保険労務士などの事業所は不適用です。また、神社、寺院、教会等も宗教法人化していても不適用の業種です。
もちろんこれらの事業所も社員の福祉のため任意適用事業所となることは可能です。