給与計算ラボ

コンビニエンスストアの給与計算 - 短期勤務者の待遇と労働時間

コンビニエンスストアの給与計算の特徴と心掛けたいこととしては、まず、パート・アルバイト雇用が多いこと、人の入れ替わりが激しいこと、正社員やオーナーの長時間労働、24時間営業、バイク通勤や自転車通勤が多いこと、などが挙げられます。

まず、パートやアルバイト雇用が多いことについては、コンビニの場合、店長や幹部候補の正社員は別として、普通の販売員はパートやアルバイトで対応する場合がほとんどです。パートやアルバイトは、有期雇用契約が大半ですから、雇い入れの際に、退職時にトラブルが無いように、労働契約の期間、契約更新の有無、更新する場合の判断の基準などを、書面による明示する必要があります。

具体的には、そのことを記載した労働条件通知書を労働者に通知します。また、一定の要件を満たす者については、労働保険、社会保険に加入させなければなりません。その要件とは、雇用保険の場合は、週20時間以上勤務で雇用期間が31日以上になる場合、健康保険や厚生年金保険の場合には、雇用期間については、日々雇い入れられる者(1ヶ月超えて継続して雇われる者は除く)、2カ月以内の期間を定めて使用される者(所定の雇用期間を超えて使用される場合は除く)、季節的業務に使用される者(4カ月を超えて使用される者は除く)、臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6ヵ月を超えて使用される者は除く)など以外の者は、社会保険に加入しなければなりません。

また、勤務時間については、通常の労働者にくらべて、1日の所定労働時間が4分の3以上及び月の所定労働日数が4分の3以上の場合には、社会保険に加入させなくてはなりません。労災保険の場合には、雇用期間や勤務時間に関わりなく加入させなくてはなりません。

Convenience Store, Mill Park, Wirral

従業員の入社と退社、短期勤務者の対応

第二に、人の入れ替わりが激しいことです。コンビニの場合は、販売員に関しては、学生のアルバイトや主婦が副業的に行うパートが多いので、長期勤務者は少なく、短期勤務者が多くなります。ですから、入職率、離職率が高くなります。従いまして、従業員の採用に関する手続きも、離職に関する手続きも多くなります。

離職に関する手続きに関しましては、離職者が雇用保険の被保険者である場合には、離職票の作成などが主なものになりますが、それは労働者の失業期間中の所得を保障する基本手当の受給に不可欠のものですので、忘れずに行う必要があります。

また、雇用期間中に残業代の未払いがありますと、離職を機に労働基準監督署などに駆け込んで発覚して、あとからその支払が命じられたりしますから、労働時間の管理を適切に行い、未払いの残業代などがないようにしておくべきです。採用に関する手続きに関しても、どうせすぐやめるんだからと言って、適当に行うのではなく、慎重に、適正を良く見極めて上で、行う必要があります。

正社員や店舗オーナーなどの労働時間の管理

第三には、正社員や店舗のオーナーの労働時間が長くなる傾向があるということです。パートやアルバイト雇用が多いということは、それだけ責任が店長などに集中します。それにともなって、業務も集中しますから、必然的に長時間労働になります。ここの問題になるのが、店長の労働者性の問題です。

もし、店長が労働者と認められれば、法定労働時間を超えた労働に対しては残業代を支払わなくてはなりません。逆に、管理監督者と認められれば、労働基準法上の労働時間・休憩・休日の制限が適用されませんから、いくら残業があっても残業代は支払う必要がありません。

管理監督者とみとめられるのは、労働時間などの枠を超えざるを得ない活動をしていること、また、同じくその枠を超えざるを得ない重要な権限と責任を有していること、勤務態様が労働時間等の規制になじまないこと、賃金等で管理監督者にふさわしい待遇を受けていること、などの要件を満たす場合です。

コンビニの店長の場合、この管理監督者の要件に該当するか否かを十分に検討し、該当しない場合には、残業に対して残業代を支払わねばなりません。ここで、名称が「店長」だからと勝手に管理監督者であるとして、労働時間等の制限をはずして、残業に対して残業代を支払わないと、後で裁判沙汰になったりして、重大なトラブルに巻き込まれることがありまので十分な注意が必要です。

もちろん、管理監督者に該当すると判断した場合にも、長時間労働は健康障害を引き起こす恐れがあることに十分に留意して、過度な長時間労働にならないように適切な配慮をすることが不可欠です。なお、管理監督者についても、年次有給休暇及び深夜労働の規定は適用されますから、請求があった場合の年休の付与や、深夜労働が発生した場合の割増賃金の支払は、必ず行わなくてはなりません。

健康管理など、労働環境の整備

第四に、24時間営業であることが挙げられます。これに対応して、3交代勤務などのシフト制をしくことが必要になってきます。また、当然に深夜労働が発生しますから、それに対する割増賃金の支払が必要になります。

最後の、バイク通勤や自転車通勤が多いことについてですが、夜勤明けで疲労がたまった時、又は、深夜時間帯のバイク・自転車での帰宅は交通事故を起こしやすいです。従いまして、日頃から、交通安全に対する指導と、疲労がたまっているようにみえる職員に対しては、休暇を取らせるなどの配慮が必要になります。

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