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給与計算における社会保険料の計算方法は?税率や控除について詳しく解説!

社会保険料とは、人生で直面するさまざまなリスクに対し、必要なお金やサービスを支給する制度である社会保険にかかる保険料のことを指します。
社会保険は公的な制度であり、国民は加入が義務づけられています。
保険の種類や保険者、収入、年齢などによって保険料の税率(%)が異なるため、注意が必要です。
本記事では社会保険の概要から、社会保険料の計算方法まで分かりやすく解説します。

社会保険料とは?

広義の社会保険料とは、以下5つの社会保険にかかる保険料のことです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

厳密には、健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料をまとめて狭義の社会保険料と呼び、雇用保険料と労災保険料をまとめて労働保険料と呼びます。
今回は狭義の社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の加入条件や計算方法について詳しく解説します。

社会保険加入対象者は?

社会保険の加入が義務付けられる条件は以下のとおりです。

①加入対象の事務所

  • 従業員が1人以上いる法人事業所
  • 常時5人以上の従業員を抱える個人事業所
  • ※農林水産業、自由業、宗教業、一部のサービス業などは適用対象外

②加入対象の従業員

  • 適用事業所(上記加入対象の事業所)に常時使用されている従業員
  • 週あたりの所定労働時間と1か月あたりの所定労働日数が、正社員の4分の3以上ある従業員

③加入対象の短時間労働者

  • 社会保険の被保険者が101人以上の企業で働く短時間労働者(※2024年9月末まで)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 学生ではないこと(休学中、夜間学生を除く)
  • 雇用期間が2か月以上見込まれること

2024年10月から社会保険料の加入条件が拡大

2024年9月末までは厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業で週20時間以上働く短時間労働者が、社会保険の加入対象でした。
しかし、2024年10月からこの加入要件が拡大され、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業で働く短時間労働者の社会保険加入が義務付けられます。

社会保険料の計算方法

社会保険料の中で、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料は企業と折半するかたちで納付します。
なお、社会保険料の計算には「標準報酬月額」が使用されます。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは給与等の平均額をキリの良い数字に区分した等級表に当てはめたものです。
健康保険料と介護保険料は1〜50の等級で分類され、厚生年金保険料は1〜32等級で分類されるという違いがあります。
毎年4月〜6月の賃金をベースに決定し、毎年9月に改定が行われ、原則1年間同じ標準報酬月額で保険料を計算します。
標準報酬月額によって、社会保険料の計算を簡単にすることができます。

出典:全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」

健康保険料の計算方法

健康保険料 = 標準報酬月額 × 健康保険料率

健康保険料率は、加入している健康保険組合や勤務地によって異なります。
会社や事業所が加入している協会けんぽや各健康保険組合のホームページ上の保険料額表などで確認を行いましょう。

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料 = 標準報酬月額 × 18.300%

2017年9月(10月納付分)以降、厚生年金保険料率は18.300%で固定となりました。
勤務先が厚生年金基金に加入している場合には、基金ごとに定められている免除保険料率(2.4%〜5.0%)が控除されます。

介護保険料の計算方法

介護保険料 = 標準報酬月額 × 介護保険料率

介護保険料率は毎年改定されて、2024年3月分(4月納付分)からの介護保険料率は全国一律で1.60%です。
定期的に保険料率が変更されるため、定期的に健康保険協会のホームページから保険料率を確認しましょう。
なお、介護保険料の納付が発生するのは、40歳以上の従業員です。
40〜64歳(第2号被保険者)は、健康保険料に上乗せする形で介護保険料も納めます。
65歳以上(第1号被保険者)は、会社勤めであっても自身が暮らしている市区町村に介護保険料を納める必要があります。

まとめ

社会保険料は、標準報酬月額から各保険料率を掛けることで算出されます。
社会保険料は従業員の収入や年齢によって異なるため、新卒入社の社員であっても全員が一律同じ保険料ということではありません。
また、法改正などのさまざまな要因で保険料率や加入対象も変動するため、常に正しい情報を収集し保険料を計算する必要があります。
Paybookでは保険料率の改定や法改正にも随時対応しており、給与管理者は自動計算に任せて支給額や控除額を入力するだけで完結するため、面倒な計算が一切不要です。
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